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横浜北仲マルシェ 出店者VOICE 2/たまごを通じて「養鶏をもっと身近に」感じてもらうために

横浜北仲マルシェ 出店者VOICE 2/たまごを通じて「養鶏をもっと身近に」感じてもらうために

80年以上の長い歴史を持つワタナベファーム
3代目の渡邉茂さんが伝えたい養鶏とは。

Q.「ワタナベファーム」はいつからある農場ですか?

正確には残っていないのですが、祖父が開発した「渡辺式バタリー育雛器」という機械の実用新案特許を取得した1932年からとしています。なので、80年以上鶏と一緒に仕事をしていることになります。
仕事の説明には養鶏用語を交えてお話ししますが、聞いたことのない言葉が多いかと思いますので、これを読んで疑問を持ったお客様はマルシェのときにでも聞いてください。僕のわかる範囲でお答えします!

まず鶏を育てる仕事にもいくつかの種類があります。
・食卵を産む鶏を育てる「採卵鶏農場」
・食肉として出荷する鶏を育てる「食肉鶏農場」
・卵からひよこをかえす「孵卵場」
・孵卵場へ出荷する卵を産む、鶏を育てる「種鶏場」
・鶏の品種改良をしたり、大雛まで育てたりする「育成場」
ワタナベファームではこれら全ての仕事に携わり今の採卵鶏農場となっています。

Q.養鶏農家を始めたきっかけは?

戦時中、祖父が栃木県今市市で鶏による食料自給率を上げるため、養鶏のノウハウを構築したところからスタートしました。
初めは1台で10,000羽をかえすことのできる孵卵器の設計。続いて、鶏ができるだけ衛生的に生きられるように、死なせないように考えられた「渡辺式バタリー育雛器」の開発です。この育雛器が当時とても画期的で実用新案特許を取得しました。
戦後は養鶏ができる土地を探して養鶏専門の不動産業を立ち上げました。土地を購入する際にも、鶏糞などの匂いが問題となり近隣住民の説得がとても大変だったと聞いています。


そして父の代に移るわけですが、縁があって「種鶏場」を始めることになりました。種鶏場は、鶏や卵を直接消費者に届ける仕事ではありませんのでイメージしにくいと思いますが、採卵鶏または食用鶏の親鶏を育て産まれた卵を孵卵場へ出荷する仕事です。育てるポイントは、ひよこから大人の鶏になるまで死なせないこと、鶏の産卵率がよいこと、卵の孵化率がよいこと、生まれたひよこが元気なことなどがあり、父は祖父の経験と技術を受け継ぎ「育成率」で3度の日本一を受賞しました。

余談ですが、実は3シーズン(9ヶ月)だけ食用鶏を育てていたこともあったんです。産まれてから50日前後でお肉として出荷するために自分の足で動き回れないほど飽食状態にしなければならないのですが、足の成長が追いつかず這って餌を食べに行く姿がかわいそうでやめてしまいました。。。

たくさんの歴史があって、2014年7月、僕の代から食卵を始めることになりました。食卵を提案したのは単純に種鶏のときに産んでいた卵が美味しかったので。笑

Q.渡邉さんがワタナベファームを継ぐことになったのはなぜですか?

僕は元々継ぐつもりはありませんでした。
むしろ両親に養鶏を辞めさせてあげたいと思っていて。
学生時代からいろいろな仕事に携わり、一番長かったのは20代のときに立ち上げた音楽の企画会社ですね。
父が体調を崩したときに初めて農場を継いでほしいと言われ、会社をたたみ今に至ります。

Q.鶏さんたち、生き物と接していて大変なことは?

生き物と接する上で一番気を使うのはとにかく殺さないこと。
死因は様々です。病気をはじめ、猫や狐に食べられたり、驚いたときや寒いときにおしくら饅頭状態になってしまい圧死、暑すぎて熱死、鶏界にも上下関係があって突きあいの殺し合いなど気をつけることはたくさんあります。
あと、思っている以上に休みが無いことですかね。
子供の頃には夏休みにどこへも行けないし、何かあれば手伝わされるし、普通の家じゃないんだって思っていました。

Q.今のお仕事で1番の苦労を教えてください。

引き算できる作業がないのが大変です。
親鶏は毎日卵を産むので毎日必ず卵の処理をしなければなりません。ひよこが入れば育雛の業務がプラスされ、季節に併せて温度調節のケアがプラスされ、マルシェに行くための準備がプラスされ、、といった具合に。本当はもっとやりたいことが沢山ありますが、かなりの少人数でこなしていますので中々スムーズにはいきませんね。

Q.では、嬉しいことや楽しいことはなんですか?

ひよこのときは可愛くて可愛くてしょうがないです!
入雛時に運ばれてきた雛が死なずに到着できたとき、初卵を産み始めたときなど、節目節目にぐっと来るものがあります。あと、メスがしゃがんで交尾行動をしているのを見かけると産卵体制が整ってきたな〜と、嬉しくなります。

Q.ワタナベファームにとって一番のこだわりは?

「白身まで美味しい卵」です。
卵の白身と黄身、どちらがひよこになるか知っていますか?
黄身の特徴でいろいろと判断されがちな卵ですが、ひよこの身体を作るのは白身。白身の質が良い卵は元気なひよこが生まれます。黄身はひよこの身体を作るときに栄養として体内へ取り込まれてしまうんですよ。
食卵では、ほとんど鶏になっている状態で農場に受け入れ卵を産ませる方法もありますが、僕たちはとにかく丁寧に丁寧に鶏の面倒を見る種鶏時代の育て方を応用して、ひよこから育てることにしました。正直、餌や水の質は二の次。どれだけ鶏を健やかに同じ大きさに育てられるか、一羽一羽の様子を観察しながら丁寧に育てているところは他には負けないと思います。実は僕達も初めて“あかり”を食べたとき、白身に臭みが全く無くて、味(塩味)がある!?って衝撃を受けました。

Q.卵にも旬の季節などはあるんですか?

1年を通して食味に違いはありません。
でも、卵の旬は生み始めてから3ヶ月。
卵は小さい方が水分など余計ものが足されてないから間延びのしていなくて美味しいです。
今の鶏は、年齢を重ねるにつれ最終的にLサイズの卵を産むように育成改良されていますので、ストレス無く育てると生まれる卵はどんどん大きくなります。

Q.平飼い三姉妹の特徴とオススメの食べ方を教えてください!

みなさん、あかりちゃん、こはるさん、など親しみをもって呼んでくださるので嬉しいですね!

長女【平飼い有精卵 あかり】
(赤玉・有精卵)

長女の誕生がワタナベファームにとっての「あかり」になればいいなと思いを込めて名付けました。
とにかく黄身が濃厚で卵の味がしっかりしています。
強い出汁などにも卵の味が負けないので、だし巻き卵、茶碗蒸しなどの全卵使いに向いています。
たまごかけご飯ではほんの少しのお醤油がオススメです。

次女【純国産鶏平飼い卵 こはる】
(ピンク卵・無精卵)

親鳥が「さくら」という鶏種なので連想してこはるに。
白身の強さ(割ったときにダレない)と甘さが三姉妹でダントツです。黄身は口当たりがもたつかず、料理の邪魔をしない優しい味わいです。弾力のある白身は、ゆで卵や煮たまごなどの白身を固める調理に向いています。
たまごかけご飯ではひとつまみのお塩がオススメです。甘さが一層引き立ちます。

三女【純国産鶏平飼い有精卵 ひより】
(赤玉・有精卵)

親鳥が「もみじ」なのでなんとなく暖かい印象になればと。名付けてしばらく立ってから気が付きましたが、次女と三女で「小春日和」になりました。笑
黄身が甘く、白身が少し塩っぱい、全卵のバランスがとてもよい卵です。三姉妹の中でも目玉焼きといえばひよりです。甘みと塩味のバランスがよくどのような食べ方にも向いています。たまごかけご飯では出汁醤油やお塩、、、と、実は調味料なしもオススメです。

「あかり」と「ひより」は同じ赤たまごなので似たような味になるかと思ったら、全く違うものになってしまいました。
あわよくば純国産鶏の「こはる」と「ひより」の2種類だけにしようと思っていたんですけどね。笑
よくお客様に「生で食べられる卵をちょうだい」と言われますが、うちの卵はどれも生で美味しいです!
その日の気分で、どれにしようかな〜って選んでみてください。

Q.マルシェに出店していて実際に購入者さんと接して感じることは?

卵のこと、養鶏のことを知らない人が多いですね。
先程も話しましたが「生で食べられる卵はどれ?」と聞かれることがこんなにも多いのかと驚きました。
細かく説明しようとすればするほど、お客さんの頭にはてなマークが浮かんできます。養鶏業界の法律や専門用語が小難しいのも原因でしょうね。例えば「放牧卵(放し飼い)」は伸び伸びと育った鶏の卵だなぁって印象を持たれる方は多いと思いますが、厳密に言うと法律違反の育て方です。
僕達が直接接点を持てるお客様には正しい知識を持ってほしいし、そのはてなマークを解消できるように、わかりやすく伝えるにはどうすればいいか、今も試行錯誤中です。

Q.ワタナベファームさんにとって、マルシェはどんな場所ですか??

卵を知ってもらうチャンスを貰える場所です。普段は卵の説明することってないので。
入り口がフランクだから、自分たちの意思次第なんだろうけど、伝えたいことの落とし込みがしやすいですね。
僕にはマルシェに出店するきっかけになった師匠がいるのですが「本当に魅力的な商品は、試食しなくてもみんな買うから!」と言われ、どうやって味見無しで安価で出回っている卵をこの値段で買ってもらうかをとても考えました。
どうやって鶏を育てているか、卵のことを知ってもらうため、とにかくあのテーブルにどうやって農場を再現するかを考え、農場の風景や鶏の様子のPOPを13枚つくりました。今では掲示する場所がないですが(笑)
僕達の言葉で少しでも卵のことを知ってもらえたらいいなと思っています。

文・写真 佐藤絵理香

ワタナベファームさんのマルシェデビューは2015年11月。
マルシェ歴はなんと横浜北仲マルシェと同い年なんです。

車いっぱいに積まれた平飼い三姉妹の卵は、今では毎回完売御礼ですが最初は今の1/10の量でも完売には至りませんでした。
細かく丁寧に、卵について養鶏についての現状を交えながらお話してくださった渡邉さんを見て、卵に、お客様に、実直に向き合い続けたからこそ今の結果があると感じました。
出店時にはなかなかゆっくりお話できないかもしれませんが、想いがたくさん詰まった卵をぜひ手にとってみてください!

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